女には名前がなかった。
身寄りがあったか友人がいたか恋人がいたかすら覚えていなかった。
女はある日、薄汚い雑居ビルが聳え立つ冷たい路地裏で目を覚ます。
彼女が彼女であることの証は
両腕に抱えられた旅行カバンと体中に広がる痣だけだった。
街を歩いても、彼女に振り向く人も彼女の名前を呼ぶ人もいない。
一人きり孤独を深めていく彼女は
自分のストーリーを自分で組み立て始める。
岡田あがさ一人きりで語る世の中で一番幸せで不幸せな女の話。
出演 岡田あがさ(空間ゼリー)
脚本 岡田あがさ
演出 深寅芥
「狂った歯車を戻したい」そんな欲求。消えた母親、帰らない姉。錆び行く故郷。
なんでも元に戻せる。修繕できる。いつでもそれが可能とは限らない。そう、「取り返しのつかない事」が世の中には存在するのです。空間ゼリーvol.4「穢レ知ラズ」から3年。民話「鶴女房」を基に、「決して結ばれることのない二人の純愛」「見てはいけないものを 見てしまったとき必然的に訪れる別れ」二つのテーマが根底に流れる物語を再び描く事に。空間ゼリー本公演で初の再演です。再演といっても、普遍的なテーマを持つこの作品だからこそ大胆に、それでいて細かく世 界を構築しなおしたいと思っております。大幅に、いえ完全に戯曲は書き直しいたします。閉鎖的な日本の村社会という舞台はザムザ阿佐谷提携公演という冠によってさらにリアリティを持つでしょう。新しく生まれ変る新生「穢れ知らず」を是非ご賞味くださいませ。
作 坪田文 演出 深寅芥
CAST
岡田あがさ・下山夏子・佐藤けいこ・河野真衣・榎本万里子・細田喜加・冬月ちき・猿田瑛・豊永純子 ・篁 薫・水谷一人・鈴木雄三・尾浜義男・宮原将護(Mademoiselle)
(深寅芥)
2006年に江古田ストアハウスで上演した「穢レ知ラズ」を改編しての再演作品となります。
ザムザ阿佐ヶ谷での上演という事もあり、かなり世界観や設定が細かく変更されており、より閉鎖的な「村社会」の風土が表現されておりました。主演の岡田あがさと宮原将護の2人の熱演が今でも脳裏に焼き付いてます。
本当の世界は球体ではなく、二等辺三角形の形をしているらしい。
その中で生きていく液体にも固体にもなれない、わたし。 誰かに「私」を教えて欲しい。 線路沿いにある有名私立女子高。 卒業アルバムに載せる写真を選別するために休日の教室に集う生徒たち。 載せる写真、載せられない写真。残したい思い出、残せない思い出。 消したい記憶。 彼女たちの隠した真実を呼び覚ますのは踏み切りの音と教卓の上の百合の花。 まだあどけなさの残る少女達の抱える秘密。その秘密から明らかになって行く彼女達のルール。 学校という社会の縮図を舞台に確かなモノを求める女学生の物語。
作 坪田文 演出 深寅芥
CAST
斉藤ナツ子・佐藤けいこ・下山夏子・河野真衣・榎本万里子・細田善加・冬月ちき
岡田あがさ(零式)・龍弥(GIG)・相葉健次(GIG)・千葉伸吾
(深寅芥)
「ゼリーの空間」の通り、「空間ゼリー」の名前を冠した作品です。
「世界は球体ではなく、ピラミッド型の三角形かもしれない・・・。」と主人公が地球地図に三角形を書くラストで終わります。そのシーンがとても印象的です。